貨物運送事業について
貨物運送業は、事業形態によって一般貨物(緑ナンバー)や軽貨物(黒ナンバー)など数種類に分類されています。
以下のような分類になります。
(1)貨物自動車運送業(自ら運送を行う運送業務)
① 一般貨物自動車運送業(特別積合せなし)【許可】
事業用(緑ナンバー等)のトラックでお客様の荷物を運送する事業で、一般的な運送業。
通常、貨物運送業・トラック運送業など緑ナンバーの取得といえばこれにあたります。
② 一般貨物自動車運送業(特別積合せあり)【許可】
一般貨物自動車運送業のうち不特定多数の荷主から集荷した荷物を営業所等で
仕分けし、荷物を積み合せて他の営業所に運送し、配達の仕分けを行う運送業。
路線とも呼ばれる事業で、多くは宅配便業者となります。
③ 特定貨物自動車運送事業【許可】
特定の荷主の需要に応じた貨物運送、荷主に従属する工場間輸送など
④貨物軽自動車運送事業【届出】
軽トラックや二輪車でお客様の荷物を運送する運送業。黒ナンバーとなります。
(2)貨物運送取扱事業(自ら運送を行わない運送業務)
① 利用運送業
荷主との間で運送契約を結び、運送事業者の運送を利用して貨物の運送を行う運送業。
いわゆる下請の運送業者を使い運送業務を行うこと。
第一種利用運送事業【登録】・・・第二種以外の事業。(トラックのみの運送)
第二種利用運送事業【許可】・・・鉄道・航空運送等を使い集配を一貫して行う事業
② 運送取次事業 登録制 → 自由化(誰でも出来るようになりました)
自己または荷主の名で運送業者と運送契約を結んだり、実運送事業者から荷物を
受けとったりする運送業。
※第一種利用運送事業に関しては新規参入が容易になりました。
現在一般貨物自動車運送事業の許可を持っている場合・・・変更申請で登録可能です
新規に許可を取得する場合・・・新規申請時に利用運送する旨を記載すれば登録可能です。
貨物自動車要件(概要)
①営業所 建物が都市計画法などに違反していないこと・・・農地では許可されません
②建物借入の場合は、賃貸借契約又は使用承諾により建物の使用が確実なこと
③車庫 原則として営業所に併設していること(併設できない場合、営業所から10㎞以内のこと)
④車庫地として使用する土地が都市計画法などに違反していないこと(農地不可)
⑤車両を全て収容できる広さがある土地であること
⑥借入の場合は、賃貸借契約又は使用承諾により土地の使用が確実なこと
⑦車庫の前面道路の幅員(道路の幅)は、車両制限令により使用車両の通行に支障のないこと(一般的には最低6.5m)
⑧休憩・睡眠施設 営業所又は車庫に併設していること
⑨睡眠施設を必要とする場合は1人当たり2.5㎡程度が必要
⑩借入の場合は賃貸借契約又は使用承諾により建物の使用が確実なこと
⑪車両 5両以上(トレーラ、トラクタはセットで1両)
⑫ディーゼル規制等で使用不可とならない車両のこと
⑬運転者 事業を始めるのに必要な運転者数(最低5名)を確保すること(アルバイト等は不可)
⑭運行管理者 運行管理者(運行管理資格者証を取得している者)が1名以上いること
⑮整備管理者 整備管理者(整備の実務経験2年以上+研修修了or自動車整備士3級以上など)が1名以上いること
⑯その他 輸送の安全管理体制の整備、必要な資金の計画、事業を始めた後の収支見積り(予定される収支内容)が適当であること
⑰車両の自賠責保険・任意保険に加入していること
⑱社会保険等に加入していること
⑲欠格事由に該当しないこと(貨物自動車運送事業 第5号各号) 下記
⑳営業資金の半分以上を自己資金でまかなえること
(欠格事由)
第五条 次の各号のいずれかに該当する者は、第三条の許可を受けることができない。
一 一年以上の懲役又は禁錮の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から
二年を経過しない者
二 一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業の許可の取消しを受け、その取消しの日から二
年を経過しない者(当該許可を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しに係る聴聞の通知
が到達した日(行政手続法 (平成五年法律第八十八号)第十五条第一項 の通知が到達した日(同条第三項
により通知が到達したものとみなされた日を含む。)をいう。)前六十日以内にその法人の役員であった者で当
該取消しの日から二年を経過しないものを含む。)
三 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者又は成年被後見人であって、その法定代理人が前二号
のいずれかに該当するもの
四 法人であって、その役員のうちに前三号のいずれかに該当する者のあるもの
許可申請時の注意事項
〔日程〕
申請書提出後、許可がおりるまで約3ヶ月以上かかります。
許可後すぐに開始できるわけではなく、ナンバー変更や各種届出が必要です。
事業開始後6ケ月以内に適正化指導員による巡回指導があります。
このとき申請内容と異なる場合や法定書類等の不備がある場合は行政処分の対象となります。
〔費用〕
許可がおりると、登録免許税として¥120,000がかかります。
当事務所の手数料についてはお問合せください。
〔その他〕
原則として運送業標準約款をつかっていただくことをお奨めします。
許可後までに社会保険等に加入して頂きます。(雇用保険・労災保険・健康保険・厚生年金保険)
申請のフロ-チャ-ト(一般貨物自動車運送事業経営許可)
申請書類の準備
▼
申請書作成
→ 申請
▼(約3ヵ月後)
許可通知
※許可がおりた場合、登録免許税(12万円)の納付案内がきます。
▼
許可証交付式(代表者出席)
▼
許可後手続き 【許可後の手続(詳細)】
運行管理者・整備管理者選任届出
車両登録(営業ナンバー取得)
運賃及び料金の設定届出
法定帳票類整備・施設の整備等
↓
運輸開始届(運送業の開始)
※許可後1年以内に運輸開始届を提出しない場合許可が失効します
▼(6ヵ月以内)
巡回指導
帳票類が整備されていない、申請と違う等行政処分の対象となります。
運送事業開始後の手続き
運送業の事業を開始した以降も様々な手続きが必要となってきます。定期的に必要な報告、変更が
あった際の届出等がありますので、手続きのもれがないか現在の状況を確認してみてください。
届出等を怠ると行政処分の対象となる場合がありますので十分ご注意ください。
変更があるときに必要な手続き
○事業用自動車を増車・減車(廃車含む)しようとするとき
→増車・減車をする5日以上前に届出が必要です。(事業計画変更届出)
この届出を行わないと、自動車の名義変更や廃車手続きが受け付けてもらえません
○営業所・自動車車庫・休憩睡眠施設を変更しようとするとき
→変更する前に事前に認可を受ける必要があります。(事業計画変更認可申請)
認可証の交付を受けてから初めて変更が出来ますので、余裕をもって申請すること
が必要です。(通常、認可まで1ヶ月程度かかります)
(例)車庫にコンテナ等を設置する→車庫面積が狭くなりますので認可が必要
付近に大きな車庫を賃貸契約した→使用する前に認可が必要
○会社の役員に変更があったとき
→変更後遅滞なく届出が必要です。(施行規則44条1項の届出)
尚、代表権のない役員については前年7月1日~6月30日までの変更について毎年7月
31日までに届出が必要です。
毎年必要な手続き
○事業実績報告
前年度の事業の実績の報告が義務付けられています。(毎年7/10まで)
○営業報告
前事業年度に係る営業報告が義務付けられています。(毎事業年度経過後100日以内)
その他(帳票類の整備)
運送業を営む上で、帳票類の整備が義務付けられています。
帳票類は様々ありますが、運行の度に毎日つける必要があるものもあります。
巡回指導時にもチェックの対象にもなりますので、こまめに帳票類の確認をして下さい。
【記帳指導サービス】
→当事務所では毎月の集計業務を顧問契約でお受けしております。
本来の業務が多忙な方等は一度ご相談ください。 【行政書士顧問契約(運送業)】
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