建設業の許可について

 建設業を営もうとする者、又は建設業(建設工事の完成を請負う営業)を営む者は、
 営む業種ごとに建設業の許可をうける必要があります。
 元請人はもちろんのこと、元請人から工事の一部を請け負う下請人の場合も対象です。
 また、元請会社によっては許可が取引の条件になっている会社もありますし、
 官公署の入札には、必ずこの許可が必要になります。

 ※例外規定
 小規模な工事のみを請け負う場合は、許可を受けなくても営業出来ます。
A.建築工事一式で右のいずれかに該当する場合 @一件の請負代金が1,500万円未満の工事(消費税込み)
A請負代金の額にかかわらず、木造住宅で延面積が150u未満の工事(主要構造部が木造で、延面積の1/2以上を居住の用に供するもの)
B.建築一式以外の建設工事 一件の請負代金が500万円未満の工事(消費税込み)


建設業許可の種類
 ・知事許可or大臣許可
  営業所が2つ以上の都道府県にある場合は大臣許可の申請が必要です。
   ※同一の建設業者が知事許可と大臣許可の両方をうけることは出来ない。
   ※単なる登記上の本店、事務連絡所、工事事務所、作業所は営業所と認められない
 
 ・一般建設許可or特定建設許可
  1つの工事について下請工事の発注金額が3,000万円以上(建築一式工事は、4,500万以上)
  になる場合は特定建設業許可が必要です。
   ※同一の建設業者が、同一の業種で一般・特定の両方をうけることは出来ない。
   ※『指定建設業』の特定建設業許可を受けようとする者の選任技術者は、1級の国家資格者、
    技術士の資格者または大臣が認定した者でなければならない等許可要件が厳しくなる。
 
 ・建設業の業種
  業種は全28業種に分かれています。
   一式工事・・・2種(土木一式工事、建設一式工事)
   専門工事・・・26種



建設業許可の要件(概要)  
1.経営事務の管理責任者がいること
    法人では常勤の役員が、個人では本人か支配人が要件に該当する事
2.専任技術者がいること
    営業所ごとに要件に該当する選任の技術者がいること
3.請負契約に関して誠実性を有していること
    法人、法人の役員、個人事業主等が、請負契約に関し不正又は不誠実な行為を
    する恐れが明らかなものでないこと。
4.財産的基礎等を有していること
    請負契約を履行するに足る財産的基礎又は金銭的信用を有していること
5.欠格要件等に該当しないこと



許可申請時の注意事項
日 程
  申請書提出後、許可がおりるまで知事許可で約30日〜45日位かかります。

費 用
  新規許可の場合、申請手数料として下記費用が申請時に必要です。
    大臣許可 ; 150,000円 (更新時は50,000円)
    知事許可 ;  90,000円 (更新時は50,000円)
 


事業開始後の手続き
 事業を開始した以降も様々な手続きが必要となってきます。
 定期的に必要な報告等もありますので、手続きのもれがないか現在の状況を確認してみてください。

定期的に必要な手続き
 許可の更新
   許可のあった日から5年目に対応する日の前日に有効期間が満了します。
   有効期間の満了の日の3ヶ月前から30日前までに更新の手続きが必要です。

 決算報告
   営業年度終了後4ヵ月以内に決算の報告が必要です。

変更があるときに必要な手続き
  商号の変更・組織変更
  営業所の名称・所在地の変更
  営業所の新設・廃止
  営業所の業種追加・廃止
  資本金額の変更
  役員・支配人の変更
  氏名の変更(改姓・改名)
    → 変更後30日以内に届出が必要です。

  経営業務の管理責任者の変更・追加・削除
  専任技術者の変更・追加・削除
  令第3条に規定する使用人の変更
    → 変更後2週間以内に届出が必要です。

  国家資格者等管理技術者の変更・追加・削除
    → 出来る限り速やかに届出が必要です。



申請する場合は、下記の書類が必要になります
                             

書  類  
・定款(最新状態のもの) 会社保存版借用
・登記簿謄本(履歴事項全部証明書) 3ヶ月以内のもの→無ければ当方で取得
・直近の決算書の写し
・納税証明書 3ヵ月以内(県税事務所発行・法人事業税)
・預金残高証明書 1ヵ月以内(自己資本が500万以上であれば不要)
実務経験を証明する書類 (※下記参照)
・卒業証明書の写し 該当する方のみ
・資格証明書の写し 該当する方のみ
常勤を証明する書類


 
実務経験の証明資料

  ア、証明してくれる方が許可業者の場合
    @証明者の登記簿謄本または履歴事項証明書
    A証明者の許可通知書の写しまたは申請書副本

  イ、証明してくれる方が許可業者ではない場合(自己証明含む)
    ※実務経験を確認する資料として下記に該当する物いずれかが必要です。
     必要な年数は条件によって異なります。
    ※下記の書類は全て原本の提示が必要です。(コピーだけでは不可)
      ○確定申告書
       事業目的欄の業種=申請する建設業の業種であること
      ○契約書または注文書
       該当年につき一件以上必要。工事内容、工期等がわかるものに限る。

常勤性の証明資料

  ア、代表取締役が経営業務管理責任者・専任技術者となる場合
     特に必要ありません。

  イ、代表取締役が経営業務管理責任者・専任技術者となる場合
   ※下記のいずれかの書類が必要です。
      (保険証以外は原本の提示が必要です。コピーだけでは不可)
      ○健康保険被保険者証の写し+原本証明(事業所名の記載のあるものに限る)
      ○雇用保険被保険者資格取得等確認通知書
      ○健康保険・厚生年金被保険者標準報酬決定通知書
      ○健康保険・厚生年金被保険者資格取得確認及び報酬決定通知書
      ○住民税特別徴収税額通知書(特別徴収義務者用)
      ○直前決算の確定申告書表紙と役員報酬明細(年額130万円以上)

許可の基準
以下の基準を満足出来れば建設業の許可が取得できる可能性大です。

経営業務の管理責任者がいる(確保できる)
 法人では常勤の役員が、個人では本人が要件に該当することが必要です。
 要件を証明するためには必要年数分の契約書・注文書の原本がなければなりま
 せん。通常は5年分で年一件以上の証明書類が準備できれば結構です。
 会社設立前の個人事業主としての期間も加算出来ます。

専任技術者がいる(確保できる)
 営業所ごとに専任技術者がいることが必要です。
  @該当する国家資格者の場合は実務経験は不要です。
  A高校や大学の所定の学科を卒業した方は実務経験は5〜3年に短縮されます。
  Bそれ以外の方は10年以上の実務経験が必要です。
 実務経験を証明するためには、証明する方(勤務会社等)の必要年数分の契約書・
 注文書の原本がなければなりません。(建設業許可済の会社の場合は除く)
 会社設立前の個人事業主としての期間も加算出来ます。

財産的基礎を有している
 下記のいずれかに該当する必要があります。
 @直前の決算期で自己資本が500万以上ある
 A預金残高が500万以上ある
 B決算前の法人の場合、資本金が500万以上である
通常はAの方法をとることが多いです。会社名義の預金口座の預金残高証明を取得します。

欠格要件に該当していない
 法人の場合は全役員、個人の場合は本人が欠格要件に該当しないことが必要です。
 欠格要件に該当する場合は許可がおりませんので注意が必要です。



あなたの疑問にお答えします!

疑問Gさん 会社の資本金300万円がなのですが、許可はとれないのですか?
アドバイス 最低資本金300万で会社設立をされている場合が多いと思います。
       この場合は会社名義の口座に500万円以上預け残高証明を添付することで申請できます。

疑問Cさん 経営管理責任者は代表取締役以外でもなれるのでしょうか?
アドバイス 代表取締役以外でも常勤の役員であれば管理責任者となれます。
        ただし、常勤していることを証明しなければなりませんので、会社の健康保険証の写し等を
        証明書類として用意します。代表取締役は常勤の証明は必要ありませんので、出来れば
        代表取締役が管理責任者となったほうがいいでしょう。

疑問Fさん 会社の資本金が500万であればよいのですか?
アドバイス 決算前の新設会社の場合は資本金500万であれば結構です。決算を迎えた以降の会社
       は直前の決算書の自己資本(資本金+剰余金-欠損金)が500万以上なければなりません。

疑問Aさん 管理責任者がいないのですが、どうしたらいいのでしょうか?
アドバイス 管理責任者の要件を満たす方がいないと許可は取れません。要件を満たす方を確保する
       必要がありますが、管理責任者は法人の役員であることが要件となりますので、役員として
       迎えなければなりません。今後を考えると管理責任者の為だけの役員はどうかと思います。
       多少時間がかかっても本来の役員の方が管理責任者になることをおすすめします。

疑問Bさん 会社組織にして5年以上経たないと、経営管理者になれないのでしょうか?
アドバイス 通常は経営事務の管理経験(役員)の期間が最低5年以上必要です。しかし、設立前に
       個人事業主として建設業を行っていればこの期間も経験期間とすることが出来ます。


疑問Eさん 実務経験が10年以上ないと専任技術者になれないのですか?
アドバイス 10年以上の実務経験があれば(証明できれば)誰でも専任技術者になれます。
        ただし、業種ごとに定められた国家資格(1級建築施工技士等)を持っている方は実務経験
        は不要です。資格者であれば新入社員でも専任技術者になれるわけです。
        また、業種ごとに定められた学科を卒業した方は、高校なら5年、大学なら3年の実務
        経験に短縮されます。

疑問Hさん 許可前に500万以上の工事を請け負っていたのですが、その場合どうなるのですか?
アドバイス 許可がなく500万(専門工事の場合)以上の工事を請け負うのは違法です。
        しかし、許可を与えないと違法状態が継続してしまいますので、申請があれば許可は与え
        られます。この場合、申請の際に始末書を添付します。(違法ですのですぐに許可取得を!)

疑問Dさん 専任技術者がいない場合はどうしたらいいのですか?
アドバイス 専任技術者の要件を満たす方がいないと許可は取れません。要件を満たす方を確保する
       必要があります。管理責任者と違って役員でなくても構いませんので従業員として雇う
       というのも一つの手です。この場合は常勤の証明が必要となります。


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